2012. 7. 4

食品と暮らしの安全  旧称:日本子孫基金

No.9

プレスリリース

コカコーラから発ガン性物質検出(2012年7月3日)

「NPO法人 食品と暮らしの安全」の協力団体であるアメリカの公益科学センター
(CSPI Center for Science in the Public Interest)は、
6月26日、日本を含む世界各国で含まれているコカコーラには
発ガン性物4-メチルイミダゾール(4-MI)が含まれていると発表した。
この発ガン性物質は、カラメル色素を製造する過程で、
砂糖やアンモニア、亜硫酸塩が高圧・高温下で化学反応を起こして生成される化学物質である。

CSPIの調査は、「NPO法人食品と暮らしの安全」を含む、世界各国の消費者団体の協力で行われた。
発ガン性物質4-MIのレベルは、各国で異なり、
ブラジルで販売されているコカコーラが最も汚染されていた。
日本のコカコーラは、355ml換算で72マイクログラムで、カリフォルニア州で販売されているコカコーラが
4マイクログラムだったのに対し約18倍も多い。
カリフォルニア州では4-MIを含む食品の規制があり、この規制に対応するために、
カリフォルニア州で販売されるコカコーラのみ4M-1が少ないものとみられる。
CSPIは、カリフォルニア州でできるのなら、世界各国でも発ガン性物質の少ないコーラにすべきであると述べている。
また、コカコーラの問題点は、この発ガン性物質よりも、大きな健康リスクをもたらす、大量の糖にあり、コカコーラをはじめとする糖分を多く含む清涼飲料水の飲みすぎを警告した。
また、日本ではコーラが500ml入りのペットボトルで販売されているのに対し、アメリカでは355ml、ヨーロッパ・アフリカ・中国では330mlが標準である。
CSPI代表のマイク・ジェイコブソン氏は、コカコーラのように糖分の多い清涼飲料水を500mlで販売すると飲みすぎてしまうため、 500mlのコカコーラは日本でも販売すべきでないと言っている。
「NPO法人食品と暮らしの安全」も、過去に糖分の多い清涼飲料水が血糖値の上昇や肥満を引き起こす「ペットボトル症候群」について警告を行っており、 CSPIと同様に、糖分の多い清涼飲料水は飲みすぎないことが重要であると考えている。
コカコーラの発ガン性物質の問題、および、大容量のコカコーラ販売の禁止に関して、日本コカコーラに対し近日中に申し入れを行う予定である。

●CSPIプレスリリース翻訳

CSPIのプレスリリース原文はこちら
http://www.cspinet.org/new/201206261.html

コカコーラの発ガン性物質レベル各国で相違
ブラジルで販売されているコカコーラが最も汚染されている

2012年6月26日
カリフォルニアで販売されているコカコーラは最も発ガン性物質4-メチルイミダゾールが少なかった。 しかし、今回の調査結果で世界各国では警告すべきレベルの発ガン性物質が含まれていることが分かった。
この発ガン性物質は、カラメル色素を製造する過程で、砂糖やアンモニア、亜硫酸塩が高圧・高温下で化学反応を起こして生成される化学物質である。
カリフォルニア州では昨年、清涼飲料水の4-MIのレベルが特定のレベルを超過している場合、ガン警告表示を行わなければならないという規制を始めたため、 コカコーラはカリフォルニア州においては、発ガン性物質レベルの低いカラメル色素を使い始めた。CSPIは3月に4M-1のテストを行い発表した。
ブラジルのコカコーラ(355ml)からは267マイクログラム、ケニアのコカコーラからは177マイクログラム、カナダ、アラブ首長国連邦、メキシコ、イギリスのコカコーラからは、 144から160マイクログラム、中国のコカコーラからは56マイクログラム、日本のコカコーラからは72マイクログラム検出された。
アメリカのワシントンDCのコカコーラからは144マイクログラムだったのに対し、カリフォルニアのコカコーラからは4マイクログラムしか検出されなかった。
カリフォルニア州では、その食品を食べることにより1日の4-MI摂取量が30マイクログラムを超える場合は、ガン警告表示をすることになっている。 355mlのコカコーラを飲めば30マイクログラム以上の4-MIを取りこんでしまうことになる。
カリフォルニア州は、4-MIを30マイクログラム以上取り込むと、10万人に1人の可能性で生涯のうちにガンにかかると見積もっている。
米食品医薬品庁(FDA)は、これよりもっと低いレベルである、100万人に1人ガンを引き起こす可能性のある量の発ガン性物質を規制している。 FDAは同じ基準を適用するのならば、コカコーラの4-MIのレベルは3マイクログラム以下であるべきだ。 カリフォルニアで販売されているコカコーラはこのレベルに近いと言えるが、多くの国で販売されているコーラはこのレベルをはるかに超えている。
CSPIのテスト結果はインターナショナルジャーナル・オブ・オキュペーション アンド エンバイロメンタル ヘルス (Vol.18,No.3)に間もなく発表される。
CSPI代表のマイケル・F・ジェイコブソン氏は以下のように述べている。
「幸いにも、中国、日本、ケニアその他の国ではアメリカ人と比べて炭酸飲料水の消費量は少ない。 そのため、この危険な化学物質への暴露は比較的少なく済んでいるだろう。」
「しかし、コーラの発ガン性物質の量を減らすことができることは明らかになったのだから、コカコーラはカリフォルニアだけでなく、世界各国で同じようにしない言い訳は出来ない。」
CSPIはこの調査をするために世界各国の消費者団体からコカコーラを送ってもらった。 この世界各国の消費者団体は、各国でこのテスト結果を発表しており、各国の健康担当省などにこの発ガン性物質についての注意を促している。
CSPIは2011年2月にFDAにアンモニアを使ったカラメル色素の使用を禁じ、この色素に関するより正確な定義付けをするよう申し入れを行った。
一般家庭で作るカラメルとは異なり、工業的に製造されるカラメル色素は砂糖やアンモニア、亜硫酸塩が高圧・高温下で化学反応を起こして生成される。 砂糖とアンモニアの化学反応により、4-MIが生成される。この物質はアメリカの政府の研究所の動物実験では、肺がん、肝臓がん、甲状腺がん、白血病を引き起こしている。
カラメル色素製造会社の大手「DDウィリアムソン」(D.D.Williamson)によると、4-MIの含まれないカラメル色素もあるが、清涼飲料会社が購入していないと言う。
著名な動物の発ガン性研究者5人(うち数人はナショナル毒性プログラムで勤務)は、 FDAにアンモニア化の過程を経て作られたカラメル色素の使用を禁止するというCSPIの申し入れに賛同した。
「アメリカ人はこのような化学物質を消費することでガンのリスクにさらされるべきではない。特に、重要でない嗜好品の場合は」とその研究者の一人は書いている。
CSPIは、コカコーラのように広く消費されている製品に発ガン性があるとわかっている物質が含まれていることは問題だが、 消費者はコカコーラやその他の甘い清涼飲料水に含まれている砂糖やブトウ糖果糖液糖のリスクにより注意を払うべきだと述べている。 糖分の多い清涼飲料水の摂りすぎは、体重増加、肥満、糖尿病、虫歯、その他の健康問題を引き起こすためである。
(訳:熊澤夏子)

表:世界9カ国のコカコーラにおける4M-1含有量 (ug/12 fl oz: 355ml)   

 国名 含有量 
 ブラジル  267
 中国  160
 カナダ  56
 日本 72 
ケニア  177 
メキシコ  147 
 アラブ首長国連邦  155
 イギリス 145 
 アメリカ(ワシントンDC)  144
 アメリカ(カリフォルニア)  4


かたや・・・

朝日新聞デジタルでは・・・

2012年7月3日

特定保健用食品(トクホ)が5月に1000品目に達しました。トクホは、科学的な試験で健康の維持に役立つ効果が認められた食品で、消費者庁が許可します。うまく使えば体調を整えるのに有効ですが、トクホは薬ではなく、あくまでも食品です。過度に期待を寄せるのは得策ではないようです。

◇この春、トクホにまた一つ、大ヒット商品が生まれた。キリンビバレッジの炭酸系飲料「メッツコーラ」。食物繊維の一種「難消化性デキストリン」を配合している。

 人気の秘密は、血液中の中性脂肪上昇を抑える効果にある。健康な男女82人に食事中にメッツコーラを飲んでもらい、血液中の中性脂肪の変化を調べたところ、難消化性デキストリンを配合していないコーラと比べ、中性脂肪増加量が約15%少なかった。この結果をもとにトクホとして認められた。

 メッツコーラは、メタボが気になる30〜40代の男性に加えて、30代女性からも人気を集めている。同社マーケティング部の光星晴信主任は「年間の売り上げ目標を発売後2週間で達成した。予想以上の売れ行きで驚いた」と話す。

 日本健康・栄養食品協会によると2011年度のトクホ市場は約5200億円。「おなかの調子を整える食品」や「血圧が高めの方の食品」、「骨の健康が気になる方の食品」といった分野で、1000品目以上のトクホが生まれた。特定保健用食品部の矢吹昭部長は「新しい分野のトクホが生まれれば、さらにヒット商品につながる可能性もあり、企業も研究を続けている」と話す。

 東京都が09年に行った福祉保健基礎調査によると、健康食品を使用したことのある人は約62%。健康食品のイメージについては約26%が「病気の予防や治療につながる」と回答した。明確な根拠もないまま効果をうたう怪しい健康食品もあるなかで、トクホは商品を選択する際の判断材料となっている。

◇だが、国立健康・栄養研究所の梅垣敬三情報センター長は「トクホは科学的な根拠のある優れた製品だが、あくまでも食品。薬のような効果・効能はない。トクホさえ利用していれば健康になれるというものではない。正しく利用することが大切」と話す。

 1991年にトクホが登場して以来、利用は拡大してきた。一方で、消費者が過度に期待を抱くことも懸念され、2005年よりトクホの容器に「食生活は主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを」という文言の表示が義務づけられている。

 梅垣さんは「食生活の乱れを補うためにトクホを利用しても効果はない。それまでに使っていた食品をトクホに置き換えるなど、食生活を改善するきっかけとしてトクホを使ってほしい」と話している。(中村浩彦)

◆インフォメーション

 トクホ情報は、日本健康・栄養食品協会のウェブサイト(http://www.jhnfa.org/tokuho-0.html)で見られる。国立健康・栄養研究所のウェブサイト「『健康食品』の安全性・有効性情報」(https://hfnet.nih.go.jp/)には、健康食品の安全性や有効性の情報などが紹介されて、国内外の健康被害情報なども掲載されている。